TAjiKA

四代目の日々を綴る日記です。

about

”TAjiKA”は、ハンドメイドならではといえる独特の風合いと、アン ティーク鋏のような優美なデザイン、そして申し分のない気持ち良い切れ味をあわせ持った、こだわりの一品に仕上がっています。

works

”TAjiKA”の商品はこちらから。


「選んで決める」
2017年11月30日

こんばんは。
今日はオススメの展示をご紹介します。

aa.jpg

京都の「祇園ない藤」という履物屋さんの
番頭さんである関塚さんのギャラリースペース「AA」で
「選んで決める」という展示が
今週日曜の12月3日から開催されます。

関塚さんと出会ったのは今年の夏くらいなのですが
お互い、伝統的な仕事に就きながら
その技術を使って、新たなことに挑戦している点や
興味のあることが似ているなど、すぐに意気投合。
先日、AAで開催された「Sun/kakke」の販売会にも
寄らせて頂きました。


今回、4名の選ぶ人がそれぞれ選んだ物を
展示販売されます。その一部はこちら↓

aa2.jpg

Sun/kakkeのデザイナー、尾崎雄飛さん
京都かみ添の店主、嘉戸浩さん
名古屋セレクトショップkinkオーナー、安田茂さん
AAギャラリーオーナー兼ない藤の職人、関塚真司さん

選ぶ人の全員と面識がありますが
個性の強い4人がどんな物を選んでいるのか
とても気になるところです。
物もそうですが、「何故それを選んだのか」を
是非知りたいし、聞いてほしいです。
3日はオープニングイベントとして軽食がある他
選ぶ人全員がいるそうなので、是非声をかけてみて下さい。
詳細は以下の通りです。

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「選んで決める」

日時:12月3日 13時スタート
(会期、4日以降の営業時間に関しては
インスタグラムで案内があるそうです。→@aa_sekizuka
場所:京都市東山区渋谷通本町東入北棟梁町311−1
(行き方:清水五条駅2番出口から徒歩4分
五条通を東へ、東山郵便局手前を右折、次の角を右折した左側)

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先日京都に行きましたが、とても良い季節です。
ちょっと人は多いですが、観光がてら
是非展示を覗いてみてはいかがでしょうか?


TAJIKA Journal
2017年11月19日

こんばんは。
遅くなりましたが、TAJIKA Journalについて
ご紹介したいと思います。


tajikajournal_vol.jpg


この冊子は、私自身が全く鋏のことを知らないとしたら
どうやって選ぶのだろうとふと疑問に思ったことがきっかけになり
「違いや選ぶ基準」を伝えるための媒体を作ろうと考えました。

内容は、多鹿の鋏に関係のある方を中心に
私が話を聞きたいと思った方へのインタビューと
鋏に関するコラム。そして、裏面は全面ポスターになっています。

今は、技術的な話に入る前の刃物や材料の話を中心とした
基礎的な内容ですが、将来的に多鹿治夫鋏製作所でしか
作ることのできない鋏の技術についても紹介していこうと
考えています。

これは1号を配布する際に、媒体説明として入れていた内容です。
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その昔、中世ヨーロッパでは修行を積み、職人になった徒弟は、
各地を回りながら腕を磨いていたのだという。
Journeyman」と呼ばれるその職人たちは、まさに旅人のように

様々な人や土地と出会い、新しい技術を生み出していた。


それは遠い昔、父が配達先で技術を観察し

研究していた風景と重なる。

父は様々な刺激を小さな工夫に変えて新しい道具や鋏を作っていた



そうして気がつけば私も、旅をしながら、新しい考えや

その土地の人たちに出会うことを繰り返している。

違う世界を知ることは、物と向き合うことと同等に

新しい気づきを与えてくれる。



TAJIKA Jornalと名付けたこの小さな冊子は

はるか昔、Journymanが旅をしながら残した足跡のように

TAJIKAが見て感じた旅の記憶を書き留めた記録です。

そして、いつか未来に繋がる

小さな文献となるようにと願っています。

私たちがこれからも鋏を作り続けるために

何が必要なのかを問い続けるために。

これから定期的に発行する TAJIKA Journal にご期待ください。

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1000部限定なので、様々な場所で配布できないのですが
その分、興味のある方や興味を持って頂けそうな
他業種のお店、作り手のスペースに置いて頂いています。

配布場所は、鋏の取扱店に少部数と
Aesop(東京、金沢、京都、神戸、福岡の5店舗)
※諸事情によりvol.3までの配布となります。
かみ添、YUY BOOKS、F/style、archipelago
大谷製陶所、PAPIER LABO、Gloini
で配布にご協力頂いています。

今後、もう少し増えるかもしれませんが
それまでに読みたいという方がいらっしゃれば
送料さえ頂ければお送りすることは可能なので
ご連絡ください。



TAJIKA Journal vol.3 発行記念イベントレポート
2017年10月25日

こんばんは。
前回に引き続きイベントレポートです。
ワークショップの模様は前回書きましたので
今回はトークについて。


しっかりトークというよりは
参加者は作業をしながら
atsumiさんと私がお話する形でスタート。
出会いや見学・取材に来られた時の話。
鋏の製造方法、メンテナンス方法の話など
質問も受けながら話しました。


最後10分ほど使って
今回のイベントで一番伝えたかった
鋏の「違い」について。


まず鋏に触れず、見た目だけで
どちらが切れそうか判断してもらいました。

sbs_event.jpg

少し分かりにくいので、もう少し寄ります。

sbs_event2.jpg

写真だと見た目があまり変わらないですが
実物は、艶(光り方)や形などはっきりと別物と分かります。
ほとんどの方が左側の鋏が切れそうとのこと。
その後、触って、糸を切ってもらいました。

すると、右側の方が良かったという方が
多くなりました。


正解というか、鋏を作る者として
どちらが優れた物か答えると
左側の方が使い心地も価値も高い鋏です。
(左が一部の職人しか作ることのできない
高度な技術を必要とする製法で作った和鋏。
右は竹二の和鋏です。)


実は、以前D&D大阪でトークをした時にも
同じような話をしたのですが
その時は今回と真逆か二つの違いが分からない
という方が多かったです。


この話は、正解を選んでほしかったのではなく


・触って違いを感じること。
・自分には何が使いやすいのか気づくこと。
・どんな基準で物を選ぶのかを考えること。


実際に体験することで、こうしたことに
気づくことが目的でした。
ショーケースに入っている物や
ネットショッピングでは絶対に分からない
触って初めて気づけること。

誰かのものさしで選んだ物ではなく
自分にとって何が使いやすく、合っているのかを知ること。

お店で1万円と千円で売られている鋏が
あるとしましょう。
普通に考えると、1万円の方が
良い物に決まっています。
しかし、使って見ると千円の方がしっくりくる。
そんな経験ありませんか?
普段から使い慣れている物の方が
あなたにとっては価値の高い物なのです。

使う人によって、必要とする性能は異なります。
今回参加された皆さんにとっては
二つの鋏が違うことはなんとなく分かるけれど
竹二の和鋏が切りやすかった。
これが答えです。

何も分からず選んでいたことから
一歩進んだのではないでしょうか?
この二つの違いに気づいて、これから先
最終的に左の和鋏を使いたいと思ってもらえる
そうなることが私の目標です。


少しずつ、こうした機会を作ったり
Journalを通して伝えていくことで
鋏はもちろん、鋏以外の物を
どうやって選んでいくのか
考えるきっかけになれば嬉しいです。

今回、WSとトークに参加頂いた皆様、atsumiさん
スタンダードブックストアの中川さん、五百森さん、河村さん
沢山の方にお世話になりました。ありがとうございました。
また機会があれば開催したいと思います。


TAJIKA Journalについて
まだ詳しく紹介できていないので
後日、書こうと思います。

TAJIKA Journal vol.3 発行記念イベント
2017年10月16日

こんばんは。
少し遅くなりましたが
10月7日に開催しました
イベントの報告です。


9月にイベント告知を開始してから
店頭では告知を兼ねて鋏を販売して頂きました。

sbs.jpg

試し切りの鋏も用意していたのですが
試して頂けたでしょうか?


さて、イベント当日は3連休初日の午前中。
皆さん時間通りにお集まり頂きました。
軽く自己紹介をして、さっそくワークショップ開始。

event2017_1007.jpg

皆さん一人ずつの参加で緊張されていましたが
以前にatsumiさんのワークショップに参加された方もいて
時間が進んでいくうちに雰囲気がだんだんとほぐれて
会話も増えていきました。

最初1時間ほどは基本の刺し方の練習。
途中、atsumiさんからのご提案でHerb shearsを
皆さんに試して頂くことに。
どんな反応なのかこそっと見ていると

「わっ!」と小さく驚く方や
「めっちゃ切れる」と笑顔になる方

いろんな良い反応を見ることができました。


その後は実際にトートバッグに刺繍をしていきます。
ワークショップが終わってから
トークをする予定だったのですが
皆さんは手を動かしながら私とatsumiさんが
お話していくことに。
手入れの仕方や選び方、atsumiさんの刺繍の話など
質問も出たりして、いろんな話ができました。

最後に、今回のイベントで伝えたかったことを
鋏を使ってお話しました。
ここまでちょっと長くなってしまったので
次回に続きます。

12年目。
2017年04月20日

こんばんは。
先週末から始まりました「おうち、」に
お越し下さった皆様、ありがとうございました。
残すところあと2日。
在廊時にほぼ売り切ってしまったキッチン鋏や
copperS、Lも追加で送りました。
全ての種類が見られることはほぼないので
気になっている方はこの機会に是非。

そして、この週末にはワークショップやライブもあります。
東京は明日は少し天気が悪そうですが
その後、晴れるようですし、是非足をお運び下さい。
私は行けませんが、出展者一同お待ちしております。


tajika.jpg


展示の準備や製造で追われる日々の中
4月18日で修行12年目を迎えました。
11年は長いようで短く、あっという間でした。
2人で作るには多すぎる種類と
全行程を手がけるには分業が必要で
近年は、父と私で各工程を受け渡して
製造していくリズムが出来上がっていました。

そのリズムの良さと途切れない製造のため
なかなか次に進めなかったのですが
そろそろ私も次に進む時期がきているようです。


これから作業も最終段階に入ります。
もちろん、一生をかけた仕事なので
これで終わり。ということはないのですが
ひとまず全ての工程を覚えなければなりません。
日頃から父の作業を見ているので
イメージはできていますが、実際にやるのは別。
あとはどれだけ数をこなすか、自分次第。


まだきちんと紹介できていないTAJIKA Journalなど
作ることと並行して、伝えることも必要。(後日書きます)
やるべきことは多いですが、何事も楽しみながら
励もうと思います。それでは。